相模原の障害者施設の事件は防げた?警備員は何をしてたの?

7月26日、神奈川県相模原市の障害者施設で大量殺傷事件が起きました。

報道の映像で、障害者施設内のけっこう目立つ場所に警備会社のステッカーが貼ってありました。

「事件が発生したとき、警備員は何をしていたんだ」「犯人に抵抗することはできなかったのか」という意見があります。

実際のところ、警備員は何をしていたのでしょうか。

また、犯人と遭遇したとして、警備員は犯人に抵抗することができるのでしょうか。

今回は警備員の業務の真相についてまとめてみました。

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警備体制が甘かった?

今回の事件が起きた「津久井やまゆり園」では、夜間は夜勤職員が8人、警備員が一人、勤務していました。

警備員は管理棟にいて、夜の9時半の見回りを終えた後は、管理棟の部屋でゆっくりしていたようです。

神奈川県の会見によると「(事件当時、警備員は)寝ていた」とのとですが、翌朝の午前6時までは休憩していて良かったそうなので、午前2時半なら普通は寝ていますよね。

警備に関してですが、夜でも人がいる施設は警備員を配置しないのが神奈川県では普通だそうで、「津久井やまゆり園」は警備員も一人いるし、警備レベルが特別に低いということはないようです。

警備業務の定義とは?

警備員はいざというとき警察並みの仕事をしてくれると期待している人が多いようですが、それは大きな誤解です。

警備業法第二条」で、警備員のお仕事、「警備業務」を定義しています。

(定義)

第二条 この法律において「警備業務」とは、次の各号のいずれかに該当する業務であつて、他人の需要に応じて行うものをいう。

一 事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等(以下「警備業務対象施設」という。)における盗難等事故の発生を警戒し、防止する業務

二 人若しくは車両の雑踏する場所又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務

三 運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等事故の発生を警戒し、防止する業務

四 人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務

以上のように、「警戒し、防止する」だけです。

なので、もし何かあったら警備員はすぐ警察へ連絡することになっています。

これは警備員が「何もしてはいけない」と「警備業法第十五条」で規定されているからです。

警備業法第十五条とは?

(警備業務実施の基本原則)

第十五条 警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。

分かりやすく説明しますと、まず前半の「警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに」には、「警備業者や警備員は、警備のお仕事をするとき、警備業法という法律によって何か特別な権限を与えられている訳ではないので気をつけてくださいね」と書いてあります。

警備員はいろんな場所でお仕事されていますが、たとえば、アイドルのコンサート会場で熱狂したファンが決められた範囲から外に出ようとしても、「出るな!」という命令はできません。

命令する権限を与えられていないので、「出ないでください」と、あくまでもお願いすることしかできないのです。

それでも、アホなファンが暴走してアイドルが怪我でもしたら、「警備は何をやっていたんだ!」と責められてしまう理不尽な展開になります。

後半の「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」ですが、これはずっと昔、日本に警備業という仕事ができたばかりの頃、悪質な警備員が労働争議に干渉・介入したり、制服が似ているので警察官と間違えた人が落し物を渡して、それを警備員が横領したりなど、悪事を働く警備員が多数いたで、この条文が設けられたそうです。

ちなみに警備業法は昭和47年(1972年)に施行されています。

警備員はお願いすることしかできない

以上のように、「警備業法」によって警備員の行動は厳しく制限されています。

警棒すら持たされない、持たされてもおもちゃみたいな警棒で、自分の身一つも守れないような代物(しろもの)だそうですからね。

今回の事件のような殺意のある刃物を持った暴漢が施設内に侵入した状況でも、抵抗するどころか、ただお願いして帰ってもらうことしかできません。

笑い話にもなりませんが、逆に、警備員の業務を制限しているおかげで警備員を守っているという考えもできます。

でも、警備員にある程度の権限を与えて業務の幅を広げてあげないと、社会における警備員の地位はいつまでも向上しませんし、給料もずっと安いままなので、若い人が入ってこれませんよね。

早く手を打たないと、2020年の東京オリンピックのときに警備員が足りなくて、慌てることになるかも知れません。

おわりに

僕も警備員の仕事を誤解していた一人です。

警備員は「事故の発生を警戒し、防止する業務」だったんですね。

これじゃあ本当に、施設内を見回りして、施錠を確かめて、不審な人物が施設付近にいたら「どちら様?」と聞くくらいしかできません。

でも、これでずっとやってこれた日本って、本当に安全なんですねぇ。

今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。

まさきちでした。

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